歴史的日記

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プラハの歴史的語源

プラハ Praha」という町の名前

・「プラハ」の語源については諸説あり、いまだに定説がない

 

・リブシェ伝説によれば、「プラハ」は、チェコ最初の公妃で超能力者だったリブシェが、まだプラハの町が創られていない時代に、未来のプラハの町を幻視して、チェコ語の práh から取った名前であるという

 

「práh」の意味

『現代チェコ語日本語辞典』=従来の日本語訳

・敷居、入口;はじめ、冒頭;限界

 

リブシェ伝説における意味

『コスマスの年代記』 (1120s)

ある日リブシェは霊感に満たされて、夫のプシェミスルの前で予言を行なった

「お城が見えます。その栄光は天まで届くでしょう。(中略)…森の中で家の鴨居(práh) を削っている男が見つかるでしょう。そして、低い鴨居のもとでは大きな男たちも身を屈めるので、この出来事にちなんで、あなた方が建てる城は Praga (Praha) と名付けられるでしょう」

 

『ダリミルの年代記』 (1314)

鴨居 (práh) のために、町はプラハと名付けられるでしょう。その町の力は大きなものになるでしょう。なぜなら、公たちも王たちも、獅子のように強い人々が、頭に怪我をしないように鴨居に対して頭を下げるのと同じように、私の町であるプラハに対してもそうするでしょうから。というのも、その町には名誉と賞賛が与えられるでしょうから。

 

マヘク『チェコ語語源辞典』

・家の壁がその上に立てられる、基底部の頑丈で大きな木=「土台」

・その後、意味が拡張

            「框」を指すようになる

            更に「鴨居」をも指すようになった

ところが、その後 práh はもっぱら「敷居」の意味でのみ用いられるようになり、現代チェコ語辞典にも「敷居」の意味しか記述されていない

 

ドイツ語からの影響、「プラハ」イメージの変容

・Schwelle 「敷居」「境界」「入口」「始まり」というような比喩的な意味を持ちうる 

 

プラハの語源は「敷居」であるとした方が、「プラハ」も比喩的・重層的な意味を持ちえ、プラハのイメージも深みを増すことになる

            ドイツの詩人ブレンターノの戯曲『プラハの創設』 (1815)

            オーストリアの劇作家グリルパルツァーの戯曲『リブッサ』 (1872)

「敷居」という想像上の語源は、プラハの町の性格を規定するのに、格好のものとうけとられてきた

 

「幻想の錬金術の町」という規定

ヨーロッパの十字路たるプラハ

・西欧と東欧との敷居

・スラヴ民族とゲルマン民族との敷居

・正教とカトリシズムとプロテスタンティズムとの敷居

・過去(中世的で古風)と現在(モダンで前衛的)との敷居

 

幻想と現実との敷居

カフカ、ネズヴァル、サイフェルト、フラバルなどの作品

 

【引用文献】

石川達夫『平凡社選書 205. 黄金のプラハ 幻想と現実の錬金術平凡社 (2000)

『現代チェコ語日本語辞典』大学書林 (2001)