卒論感想・口頭試問対策

今日は卒論の口頭試問で、何もせず時間が来るのを待っていても仕方がないので、一応自分の卒論を読んだメモでも作ろうと思う。
結構たいへんなところが多くてちょっと困りそうなので、ツッコまれそうなところを適当にまとめた。

 

研究テーマ

アメリカおよび日本におけるアメリカ西部史研究の展開

 

研究の概要

19世紀末から21世紀に至るアメリカ西部史研究の諸潮流を概観し、中でもフロンティア理論をめぐる議論や、1980年代以降に起きた西部研究細分化の過程を把握するために、アメリカ西部史研究の論点を時代ごとにまとめることを目標とした。
まず日本における研究の出発点を1970年代に始まる渡辺真治の研究を出発点とし、以後1980年代における一般向け新書の出版、1990年代末における西部史研究の大家岡田泰男の研究成果、2000年代における柳生智子と小塩和人の研究について、それぞれの成果が現在の西部史学史に与えた影響を検討した。
次に、アメリカにおける近年の研究動向として、ウィルバー・ジェイコブズ (1994) とスティーブン・アロン (2011) を紹介した。
最後に、結論として、柳生 (2015) の示す西部研究の見通しについて、改めて評価した。

 

卒論の不備

以下、卒論に発見した主な不備を、ヤバさ順に並べる。

 

重要な不備

(1) 第2章 アメリカにおける近年の研究動向 の記述が不十分
本研究での最大の不備。
英語文献を読みこなし、論点を吸収しつくす余裕がなかったのが敗因であり、スケジュールに問題があった。
一応、以下の2冊については、日本語で紹介されたことはないので、全く無意味な章だったということはないはずだが、それにしても、もう少し論点を整理して、西部史学史に位置づけるための努力は必要だった。
・第2章第1節 ウィルバー・ジェイコブズのターナー研究 (1994) についての問題
・第2章第2節 スティーブン・アロンにおける複数形の「フロンティア、ボーダーランド、西部」の意味 (2011) についての問題

(2) 「西部」という枠組みの問題について、検討していない

(3) 結論で示した議論の整合性が微妙

 

普通の不備

(4) 引用部が多く、それらについて十分に検討していない

(5) 序章第4節 用語の確認 において、「西部」という用語の解釈について、確認していない

(6) 第1章第1節の検討が薄い

(7) 第1章第2節の結論がない

(8) 第1章第3節の記述が偏っている

 

些末な不備

(9) 読点のミス

 

卒論でよかった点

  • 英語文献の読解に比べると、日本語文献はまあまあ読み通せた。
  • また、英語文献も一応短期間で集中的にいくつかは追っていたので、アメリカ史のような背景知識をもっている分野の英文だと、割とすらすら読めるになり、多少の自信はついた。
  • 専門的にアメリカ西部史を研究する人以外はまず触れないであろう文献を、古いものから新しいものまで幅広く集めるのは楽しく、またアメリカ史・文化史に関するより深い勉強のための大きなステップアップにもなった。
  • やっぱり思想史的な方法論に関心があるということを再確認できた。