岡田泰男『フロンティアと開拓者』東京大学出版会、1994年(読書メモ)

序章 フロンティアと開拓者

だいたいジェファスンからターナーまで(19世紀初頭から末まで)の西部開拓史を概説している。文章も読みやすいし助かる。卒論はだいたいこの辺りの話題から出発したいがどうなることやら。

ターナーがフロンティア学説を発表したのがドヴォルザーク交響曲第9番新世界より」の発表年と同じというのは、ここで指摘されるまで気づかなかった。

ターナーのフロンティア理論が、発表されてからすでに一世紀を経過した今日、なお影響力を持っているのは何故か。それが発表当時の斬新さや革新性を失ったことは止むを得ぬとしても、現代においてアメリカ史の特殊性を説明するものとして、やはり説得性を有しているからであろう。奇しくも同じ1893年、ニューヨークで初演されたドヴォルザーク交響曲新世界より」が、今も美しい旋律で聴衆を魅了するように、ターナー学説は古典ではあるが骨董品ではない。*1

まあいちいちこういう符号にこだわってても特に大した成果にはつながらないが、最近ドヴォルザーク周辺やターナー周辺をちまちま勉強していた身としては、なるほど感が強かったので、メモしたい。

 

第三、四、五章においては、西部移住者の供給源とされている東部農村を考察の対象とした。東部の側から西漸運動を見るという研究は、決闘の相手を後から撃つ卑怯者のようなところがあるせいか、アメリカにおいても十分にはなされていないので、ここにかなりの比重をおいた。*2 

ウーーーン…………

*1:P.7

*2:P.8