2021-10-01から1ヶ月間の記事一覧

『文体の舵をとれ』練習問題(3)「追加問題」問2

書いてみた長い文が、単に接続詞や読点でつなげただけで構文が簡単になっているなら、今度は変則的な節や言葉遣いをいくらか用いてみよう(ヘンリー・ジェイムズを参照のこと)。すでに試みたあとなら、ダーシなどを駆使してもっと〈ほとばしる〉文を書いて…

20211031

文体があればそれでいいと思う。横書きの場合は右に、縦書きの場合は下に向かって、眼球を運動させる強力なパワーを持つ。使えるものはなんでも使う。 ボイスが聞こえる。一文字ずつ聞こえるので全体として読むと脈絡がない。字数やプロットといった枠に対す…

20211030

最近は無敵状態になってちょっと厳しい意見を言われたところで執筆が止まることはそうそうないから、小説の感想を聞いて回る。 まず、文体について指摘された。僕としては色々なことを試さなければならない時期にあって、その中でもどのような文体を選ぶのか…

『文体の舵をとれ』練習問題(3)「追加問題」問1

最初の課題で、執筆に作者自身の声やあらたまった声を用いたのなら、今度は同じ(または別の題材について、口語らしい声や方言の声を試してみよう──登場人物が別の人物に語りかけるような調子で。あるいは先に口語調で書いていたなら、ちょっと手をゆるめて…

20211029

制覇したいシリーズというのがあって筑摩書房の「ちくま日本文学」とか池澤夏樹編の文学全集、ピンチョンの全集、JLPP翻訳作品紹介、柴田元幸と高橋源一郎のブックリスト(『小説の読み方、書き方、訳し方』)などだ。ちくま日本文学は樋口一葉を読んでみて…

『文体の舵をとれ』練習問題(3)「長短どちらも」問2

半〜一ページの語りを、七〇〇文字に達するまで一文で執筆すること。 折に触れ、演奏において何が本質的か、という話題に行き着きがちな我々の中で僕の主張と言えば、ステージの上に立つ段になると技術的な問題や緊張ですら問題ではなくなり、楽器の機械的な…

『文体の舵をとれ』練習問題(3)「長短どちらも」問1

一段落(二〇〇〜三〇〇文字)の語りを、十五字前後の文を並べて執筆すること。不完全な断片文(間投詞や体言止め)は使用不可。各文には主語(主部)と述語(述部)が必須。 私は熟れたバナナを食べていた。バナナは腹の足しにならなかった。何を食べたらい…

『最後の決闘裁判』感想(ネタバレ)

『最後の決闘裁判』観たけど僕の評価はちょっといまいち。星3.5ってところ。 まずオチについて「その話の流れならマット・デイモンが失血でアダム・ドライバーと一緒に死ななきゃおもしろくないだろうが!」という点がある。 次に構成については芥川「藪の中…

『文体の舵をとれ』練習問題(2)「ジョゼ・サラマーゴのつもりで」

一段落〜一ページ(三〇〇〜七〇〇文字)で、句読点のない語りを執筆すること(段落などほかの区切りも使用禁止)。 そろそろ店のことについてもなにか申し上げておいた方がよさそうですがありゃもうダメですね全然ダメ店主のやる気がないわけなんですよそり…

20211027

ユーラシア大陸と同じぐらいの大きさの意欲をもって執筆に臨んでいる。リソースとかコストとか問題を分割するとか考える局面ではなくて、ぶつかれば地球が終わるんだからとにかく全部を使い切らないといけない。 昨日はとてもいい気分だった。症状かもしれな…

『文体の舵をとれ』練習問題(1)「文はうきうきと」問2

一段落くらいで、動きのある出来事をひとつ、もしくは強烈な感情(喜び・恐れ・悲しみなど)を抱いている人物をひとり描写してみよう。文章のリズムや流れで、自分が書いているもののリアリティを演出して体現させてみること。 しかしまあ。あの店員のめんど…

cut back, drop, and turn

僕においては明白な隠喩体系として眼前にあるものも他者にとっては明白ではなく、これを示すために丁寧な註釈が必要となる。軽蔑すべき内語、恥ずかしい独白の国はまったく要らない要らない。 世界のうち一部分は隠喩の国であるとしか言いようがない。これは…

『文体の舵をとれ』練習問題(1)「文はうきうきと」問1

一段落〜一ページで、声に出して読むための語り〈ナラティヴ〉の文を書いてみよう。その際、オノマトペ、頭韻、繰り返し表現、リズムの効果、造語や自作の名称、方言など、ひびきとして効果があるものは何でも好きに使っていい──ただし脚韻や韻律(meter、定…

20211025

確かめるほどの現在地ではなく通過する場所の一つ一つを覚えてもいられない。遠い旅というのは。道連れも何人かできた。緊急事態宣言が終わって一緒に飲めて嬉しかったね。でももし感染したらそんなことも言ってられないんだろうね。「もうどこへも行けない…

20211003

オリジナルなつらさから抜け出して(スイッチが切り替わる。脳の使ってなかった部分に血がサーッと流れ込むのがわかる)今日のような記憶にない景色に辿り着くことを目指していた。目についたもの全部から、街をゆく通行人や図書の詰まった棚、コンビニの棚…