古いといえば古いが

古代帝国の遺構に住み古い生物の化石を収集して過ごしている。いくつかの手続きさえこなせば十分に実現できる生活であり、気に入ってはいるが、結局大都市の真ん中の小さなアパートに住むのと何が違うのかと考える。
どこにいても、何を手にしても、つきまとうのは自分で、自分で自分を見捨てない限り生活は続く。物語でしかない。

自分をうまく捨てるというのは非常に大事だ。
エスブッダ、そして……私たち。

もう生きてはいない生物を抱き抱えて、ここにあるまだ生きてはいる生物がたまらなくつらい。

遺構から出勤して仕事をして酒を買って帰る。数年前には考えられなかったほど平穏な生活だ。いつこの静けさが破られるのかということをぼんやり恐れている。
基本的にサスペンスは自分の内より来たる。

遺構から挨拶をする。おはようございます。ええ、そうです。こんな所にも住んでいる人間はいますよ。では仕事に行って参ります。

後日、警察が遺構を見回りに来た。