記憶に残りたい

自分自身の記憶があやふやなのはむしろいいことだと思う。嫌な思い出をいつまでも抱え込むよりは綺麗に忘れる方がよっぽど楽だ。

実際に様々な物事を忘れながら前に進んできた。

一方で、他人には自分のことを覚えておいてほしいと願っている。忘れられるのが怖い。爪痕を残したい。

人間の忘却は不自由だ。忘れようと思って何かを忘れることはできない。勝手に忘れていくだけだ。

他人の記憶になりたいという欲望は暴力的ですらある。その暴力を振るいたい。

小説だって書く。