記憶を操る

記憶自体はどうでもいい。しかし小説の執筆に使えるリソースは時間と記憶だけであるといってもいいぐらい、記憶の利用は重要だ。

色々な人の話を聞くということを始めた。メモを取っているが、話の中身はどんどん忘れていく。あれこのメモってなんだっけ。

昔読んだ本のメモを取り出す。ああ、この本にはいいことが書いてあったんだなと思う。使えるものは使う。

幼少の頃のことを思い出す。幼少の頃のストーリーを人に語って聞かせる度に過去は一本の筋としてまとまっていき、細部が痩せ細っていく。

細部を思い出したい。小説には細部しか要らない。

 

空中にメモがたくさん漂っている。ファンタジーみたい。僕はそれを眺めることができる。一つ一つに何が書いてあるか、はっきりとは見えないが、それは確かに僕の文字だった。

メモを提示できればいいのだが、やはり小説、必要になるのは整理された物語だ。記憶に、途方に暮れる。

 

ときどきエディターの上を文字列が自由に走る。メモとか関係なく。意志とか関係なく。それを書くために記憶から抜け落ちたもの探してる。