発狂飛び

気楽に気楽にビールを飲む、いずれ臓腑を痛めつける量を。

解釈次第で何者にもなれたあの頃から十数年、解釈すらできない想像力の貧困に行き着いた。なにともなく、どうともなく。あるいは、理想かもしれない、ただ生きるという理想。

「重要なのは、」と念を押す。「重要なのは、自己紹介の長さではなく、その後に続く会話が弾むことです」「君はずいぶん人間が好きなんだね」「まあ、ひまつぶし」

「会話はどう?」
「色々ですよ。うまくいく日もあればうまくいかない日もある」
「会話がうまくいくのは君が偉いんじゃなくて、相手が偉いんだと思う」
「そんなことはわかってますよ」
「あとはそう……失言には気をつけることだね。君は思い切りがよすぎる」
「思い切りっていうか、なんも考えられない真っ白な瞬間があるんですよ。閃光しか見えない」
「目と口を覆いなさい」
「そんなことを言うために来たんですか?」
「目と口を覆って手を動かせ」
「それはまあそうかもしれない」

解釈次第で何者にもなれたあの頃から変わっていない。私は成長や技術の向上を否定する。必要なのは思い切り、の、よさだけ…

両足で精一杯屋上の縁を蹴りつける。万有引力を感じる。

地面への落下に至る数瞬で、ものすごい話を聞かせてやる。