王座退屈

重要な話が目の前で行われているのはわかるが、今すぐにでも逃げ出したい。
もう聞いていたくない。

逃避先のイメージがあるわけではない。

子供の頃、よく遊びに行ったビーチはどうだろうか。
暖かくて、風が吹いて、潮の味と香りがして……

二つ思い出す。
一つ、今はビーチで過ごすにはふさわしくない冬の真っ只中であること。
一つ、ビーチは近年埋め立てられ住宅用地として中階層に貸し与えられていること。

意思決定者にしてくれと誰が頼んだ?
呪われた王座に座ることを誰が望んだ?

兄弟姉妹はうまくやっているらしい。
自分だけが、自分だけが耐えられない。
この身に流れる血の温度に吐き気を催す。

そして時が来る。

「うむ。よきにはからえ」

聖なる言葉である。これを国の隅々まで知らせること。