『文体の舵をとれ』練習問題(4)「重ねて重ねて重ねまくる」問1

一段落(三〇〇文字)の語りを執筆し、そのうちで名詞や動詞または形容詞を、少なくとも三回繰り返すこと(ただし目立つ語に限定し、助詞などの目立たない語は不可)。(これは講座中の執筆に適した練習問題だ。声に出して読む前に、繰り返しの言葉を口にしないように。耳で聞いて、みんなにわかるかな?)

 

 母からは押韻を教わった。詩を読むわけでもないのに、変な教育だったと思う。もちろん小学校の作文では使わなかった。そこで押韻が意味をなすことはないから。個人的な日記や母とのLINEのやりとりなんかでそれは生かされた。面白い語彙があればそれを書き留めた。どこかから聞こえたボイスに耳を澄ませた。私には隠喩や直喩は聞こえてこない。ただ押韻だけだ。聞こえるものを書き留めるしかない。語彙が多いわけではないので実際の文章におこすのは大変だった。ボイスは今まで少しずつ変化してきた。小学生、中学生、高校生と押韻は変わった。停滞はしない。そして、思うのだが、もしも私に恋人でもできたら押韻は変わるだろうか? 大いに、謎、とする。