川の話

中米に住んでいた頃を除くと、常に川の近くに住んでいた。地元の川、淀川、堀川、弓削川。そして、鴨川にも頻繁に出入りした。いずれも素晴らしい川だった。川では公園とは異なる時間が流れ、地元の人間は絶えずそこに吸い込まれる。一つの景色になる。
2011年以来、いつも津波のことを考えている。川の水が地上に氾濫し、自分は家を失うというビジョンが頭を離れない。なまじ台風の日の川を知っている分、川の水が増えることの恐怖感は、海が迫ってくるイメージよりも強い。
川では日の光を浴びて寝転がることができるし、楽器を吹くこともできる。写真もよく撮る。お金がなくてもできることが色々とある。
淀川の近くに住んでいた頃のことはあまり人に話したことがない。高校を卒業した年の夏ごろから翌年冬にかけて、大阪中津にある学生寮に住んで大学受験浪人をしていたことがある。結局その年はロクに勉強をせず実は結ばなかった。親には悪いことをしたと思っている。サカナクションのkikUUikiをよく聞き込んで縄跳びをしたり深夜に近所の公園でぼーっとしたりしていたことを思い出す。未成年だったのでまだ飲酒はしていなかった。淀川花火を屋上から見たことがあった。一応写真は撮ったがカメラが貧弱だったのであまり面白くはない。その年、ほとんど人と会話をしなかった。
台風の翌日の淀川で写真を撮ったことがある。写真はもう手元にない。