20220311

教えるように書いている。物語の叙述ということを全然知らないアナタへの最初のガイドラインになっていくこの文体。
アナタは構成をまだ知らない。最初に惹きつけて、徐々に浸透させて、最後にひっくり返して、ナニやらスゴいモノを読んでしまったゾ、と思わせるためには必ず要る。そう思わせたくなければ構成は別に要らない。垂れ流しOK。歴史的日記ってやつがそうらしいよ。
英語でよければ、shape of stories(Kurt Vonnegut)やstory arcを参照してくれ。
日本語だと大塚英志『物語の体操:みるみる小説が書ける6つのレッスン』(朝日文庫、2003年)、大塚英志『ストーリーメーカー:創作のための物語論』(アスキー新書、2008年)、佐藤亜紀『小説のストラテジー』(ちくま文庫、2012年)、佐藤亜紀『小説のタクティクス』(筑摩書房、2014年)あたりから。

ここから浸透という段階に入っていく。既知の情報と未知の情報をバランスよく混ぜ合わせて何度も同じことを語っていくのが基本だ。まったく同じ話でも二度、三度と語っていくうちに文脈が変わってくる。韻を踏み続けると魂 soulが宿る。

あなたは構成をもう知っている。読みづらい文章(えーと、この文章のことね……一応)を「それでも何か秘密があるんじゃないか?」と読み進めている時点で書き手と読み手は手を繋いで仲良く歩いている、ことになる。秘密を信じられなければ殴り合いだ。殴り合い上等だよかかってこいよ。

オラァッ

秘密を書こう。「ある種の人間(僕の同族たち)」に向いている方法は、極端に書くということ。核心と空白を連続的ではなく断絶的に配置して、びっくりさせる。「徐々に浸透させる」って書いたのは忘れろ。

ポジティブな文章とネガティブな文章はそれぞれポジティブな文脈とネガティブな文脈に沿うように配置することで可読性を上げる。ネガティブな気分の描写の時に変に気分がアガるようなことを書くな。小手先のバランスは取らなくていい。
ネガとポジの量は「思ったより」百倍ぐらい誇張しないと、伝わらない。

言葉一つで世界を絶望させられるなら僕も苦労しない。

百倍でも足りないぐらいだ。

さっきも書いたけどさ、とにかく同じことを繰り返し書くんだよ。それが押韻になるから。
リズム、グルーブ、ビートは明示的に示す。
ここから踊れってザッツを出す。

さて、あなたはもう構成された。ここからさらに、あなた自身が世界を構成し続ける機械になれるかどうかは、これからどれぐらい書くかどうかにかかってくる。

読むから書いてよ。またいっぱい話そう。