『文体の舵をとれ』練習問題(2)「ジョゼ・サラマーゴのつもりで」

一段落〜一ページ(三〇〇〜七〇〇文字)で、句読点のない語りを執筆すること(段落などほかの区切りも使用禁止)。

 

 そろそろ店のことについてもなにか申し上げておいた方がよさそうですがありゃもうダメですね全然ダメ店主のやる気がないわけなんですよそりゃまあ人にも店にも色々なやつがあったっていいとは思いますがね最低限のことっていうのはありますし例えば壊れたままのドアはさっさと修理するとかあるでしょうって私に言わせればね夏の間はそんなんでも客は来たんでしょうがいよいよこの季節になるといよいよですよそう思いませんかとそのぐらいの話から始めないといけないわけなんで周りの連中は諦めてますわはいはいそうそう私の友人なんかはスラムだスラムだと喜んでおりますがスラムに失礼ですとそんなことはまったく言っちゃあいけないといやいやドアの他にも色々ありますよ窓が割れてるのなんか店の象徴としか言いようがありませんななんてこと昨日も言ってましてあとはティーカップの汚れも椅子の背面がぶっ壊れてるのも私は嫌になってしまいましたねそう私はすっかり嫌になってしまったんですよ大好きだった店があんなことになってしまって