ウタハマア2

見てよこれ。君色に輝いてた手紙。
書いたの覚えてる?

読み上げよう。文字を読むのが好きだし口にするのが好きだから、読み上げるのが一番いい。
聞いてね。
「踊ったりした夜、私は疲れていた。早く帰りたかった。あなたが帰ろうとしないのが悪い。
帰らないことであなたは私を毀損した。
終電で帰るべきだった。
夜中一時には嫌気が差していた」

ウタハマアは僕が選ばれなかったことについて、君が選ばなかったことについての話だ。
何が悪い?
顔、肌、指、体格、身長、歩き方、目、目線、耳の形、唇、鼻、とかそういったことだけではないだろう。
声、話、考え方、執着。
この中だと執着が一番よくなかったのかもしれないな。
シレナイナ。

疲れ色に輝いていた時代が好きだった。だって、輝いて、いたから。

君の別名は、いくらでも挙げられる。
考えてみたら君でなくてもいいのかもしれない。
シレナイ。

次の女の子へアプローチ!

ついに人類が月へと到達したぞ! という感動はアポロの着陸の時、薄かったらしい。なんにせよ中継が長かったという話だ。

戦争が始まったぞ!

乗り遅れるな!

日常が終わったぞ!

断片と物語は両立すると思うし、君に読ませたかった切れ切れの歌は世界に公表したかった声明文でもありうると思うから、ずっと書いてる。

鍛え上げられた病人、それが僕だ。